皇子は再び夢の中。
前回のように濃い顔の幼馴染も出てきません。
素敵な、素敵な夢を見ていました。
口うるさい従者も臣下のものもおらず、
「いやー最近皇子様なんか色艶いいよね」
「さすが皇子様、もうメロメロ!私にカレーをよそわせて!」
「あんなしみったれた国見捨てて、日本で国会議員になるべきだ!」
皇子をたたえる声、声、声。
心許せる仲間と囲む暖かい晩餐。
皇子のことを心から理解し、尊敬してくれている人々が
用意する料理、それは当然カレー。
今日は有名なトロカツカレーのお店に皇子をご招待。
「高貴な皇子をこのような庶民的な店に
お連れするのもいかがなものかと思ったのですが」
「よいよい、くるしゅうないぞ」
「この店名物の超大盛りトロカツカレー、
皇子にはやや物足りないとは思うのですが」
「ふむ、どれどれ」
「ほほう」
それもカツが乗った超大盛り
「いかがでございましょう、やや少なかったでしょうか」
「いやいやなかなかのものだぞ、だがなこのようなものは」
湯気が暖かいなあ
周りの人もみな僕のことが大好きで
ああ なんて素敵な空間なのだろう
当然完食だよね
おなかもいっぱい、周りからのスタンディングオベーションが心地よい
みんな、ボクを受け入れてくれてる
ああ、なんてすてきなんだろ
「・・・・ォォォォォオオオオオォォォゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウジイイィィィ」
なんだようるさいな
「・・・ぉぉぉおおおぉぉぅぅぅううううぅぅじぃぃぃいいい」
みんながボクをすきなのは良くわかってるよ
「オオオオォォウゥゥウウウジィィ」
なんだよ、この不吉な声は
「皇子!」
なんだよ
「皇子、はやくポンテギ食べないと」