皇子がいつものように愚痴をこぼしながら帰宅していると。
病んで いる〜♪ 胸の どこか 奥で〜♪
ふとそんな歌声に呼び止められたような気がしました。
足元を見ると、 不思議な人形が二体。
打ち捨てられた人形二体に国を追われた自分が重なったのか、
柄にもなく人形を拾い上げ、帰宅する皇子。
そしてその夜。
とんとんとドアをノックする音が。
こんな時間の来訪者など借金取りか新聞の勧誘です。もうだまされません。
しかしなぜか皇子はこの日、何の抵抗もなくドアを開けました。
テレビの横に置いた人形たちが、
「大丈夫だよ」
と微笑みかけた気がしたから。
そう、このお話は不景気で世知辛い現代版、笠地蔵。